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有田健太郎のエッセイコーナーです


by a_k_essay

コーヒーサイズ

 春風が大暴れしている。
そりゃ見てしまうさ、スカートレディ。
しかし、すぐに前を向き直して歩いてゆきます。
 頑張れおれ2010。

 早いもので春渦中。
サクラもキレイ。

 
 最近、空き時間をカフェで過ごすことが多い。
『2010年、頑張る帳』にあれこれ書き込んだりしているのだ。

 そこで困るのが、都心によくある「コーヒー下さい」といってもコーヒーというメニューがないお洒落なカフェだ。
最近では慣れてきたが、初めて入ったときは大変だった。


 「申し訳ありません。当店にはコーヒーというメニューはないのですが…」

 メニューを見ると、『なんとかラテ』とか『なんとかモカ』とか分かりにくい英語とカタカナが並んでいる。
後ろに人が並んでいるのでなお焦ってしまう。

 「じゃあ、ブレンドコーヒーで」
 「申し訳ありませんブレンドコーヒーというのも…。
こちらのメニューの中からお選び下さい」

 ここは喫茶店だろー!
心で叫んで顔で平静。大人やね。

 しかし、もし僕が博多のラーメン店主だったら大変なことになる。
 「コーヒーつったら、お前らが一番美味しいと思うコーヒー出せばよかったい!」


 僕はメニューの中から無難そうなやつを指差して注文する。

 「サイズはいかがいたしましょう?」

 …

 「普通でお願いします」

 「申し訳ありません、当店には普通というサイズはないのですが…」

 ぼっこーん☆(ちゃぶ台をひっくり返す音)

 もし僕が博多のラーメン店主だったら大変なことになる。
 「きさん、普通つったら普通のやつをもってくればよかったい!
たくさん飲みたきゃ替え玉(おかわり)するったい!
麺は残してもスープは残すな、ボケがぁー!」


 メニューに書かれてあるサイズは『S』『T』『G』『V』と4段階に別れている。

 なるほど、真ん中がない。
これじゃ「普通がない」という返答にも納得ができる。
ばかなやつらだ。
せめて3段階にしてればよかったものを(バカはお前だ)。

 しかし、『S』はスモールとしても他の『T』や『G』、『V』とはなんなんだ。

 なぜビックの『B』がない?

 『V』ってなんだ、ビンテージか?
いや、古くてどうする。サイズの話だろ。
ビクトリーか。

 そうすると『T』は、タンブラーか。
タンブラーでコーヒーが出てくるってか…。
時代は変わったな。


 僕は無難な『G』ジャイアントで注文する。

 「グランデですね。かしこまりました」

 …

 もう、日本なんだから『大吉』とか『中吉』とかにしろよ。


 実際は『S』はショート、『T』はトール、『G』はジャイアントではなくグランデというらしい。
『V』は忘れてしまったが、コーヒーをコーラのように飲みたい人が注文するそうだ。


 最近では慣れてきて『G』を指差し「ギャラクシー下さい」など真顔で注文したりする余裕も出てきた。(本人はユーモアのつもりだが、店員は笑いをこらえるのに必死)

 しかしそうは言っても実際、お洒落なカフェのカフェは美味しい。
確かにうるさいだけのことはある。
 博多のラーメン店主は頷かさせれなくても、僕は頷かさせられてしまうのである。

 『ウインナーコーヒー』を、コーヒーの中に極上の粗挽きポークウインナーが入っているコーヒーだと本気で思っていた青年だったが、すっかりシティーな大人になってしまったものだ。


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 芽吹き、花開き、それらが風に揺れる4月。
色彩と息吹が世界を明るく活気づける。

 真新しい少し大きめの制服は、新入生。
 満員電車に目をぱちくりさせているのは、新社会人。
 ほら、今度はぐっと空を見上げてみて。
 絡み合う電線は、X軸とY軸。
一瞬に放物線を描いたのは、大人になって帰ってきたツバメ。

 うーーん、春だ。

 公園のベンチと缶コーヒー。
こんな日は青空喫茶も悪くないね。

 さあ、素敵な時間を過ごそう。


 そうこうしているうちに、すぐに暖かくなるよ。
 そして、コーヒーをがぶ飲みしたくなったらお洒落なカフェで言うといいよ。
 「コーヒー、ビクトリーで!」



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【そりゃあ、虫達もほっとかないさ】
by a_k_essay | 2010-04-05 06:57