有田健太郎のエッセイコーナーです


by a_k_essay

時々タイムスリップ『久しぶり!まるちゃん』

 テレビをつけたら『ちびまる子ちゃん』の20周年記念スペシャルが放送されていた。
 『ちびまる子ちゃん』と言えば、忘れられない思い出がある。


 高校2年、英語の授業中だった。
先生が黒板に夢中になっている隙に、僕のもとに小さな紙切れと1冊のマンガ本が回ってきた。
 「由美ちゃんに回して」と書かれた紙切れ。
 『ちびまる子ちゃん』と題された、当時の少女マンガにしては気の抜けた表紙。

 …まったく、女子はマンガが好きだな。
僕は先生から見えないように机の引き出し辺りにそれをもってゆき、さっそく読み始めた。

 「ちょっと、なん読みようと!はやくまわしーよ」
ひそひそ声の催促なんておかまいなしである。

 …こんな少女マンガもあるんだ(女子が読むマンガは全て少女マンガだと思っていた)。
僕は、面白いと思った。

 フフ、、
 フフフ、、。

 しかし、マンガに夢中になっている姿を、たまたま隣のクラスから廊下に出てきていたおっかない国語教師に見られていようとは。
殺気も気づかせないほど夢中にさせる『ちびまる子ちゃん』、恐るべし。

 授業が終わって、チャイムの余韻も引けぬ間に駆けてきた友人。
 「おまえ、マンガ見よったろう?
国永が廊下からすごい形相でお前のこと見よったぜ」

 彼は、気の毒そうな、だけど少し楽しそうな顔をしていた。
 災難とは、ある日突然向こうからやってくるものである。
幸せは歩いて来ないのに、災難は向こうからやってくるのである。
そんなものである。

 「そんな、、おれはただ、通りすがりのマンガ読んだだけやんか。」


 「有田はおるかぁー」

 (条件反射で机の下に隠れる有田)

 「有田はおらんのかぁー」

 (さらに小さくなる有田)

 「昼休みにマンガ持っておれんとこ来いって、有田に言っとけ!」(聞こえている)


 昼休みも終わる頃、職員室から出てきた有田の頭はそうとうヒリヒリしていた。
 もっとかわいそうなのは、さんざん僕の頭を叩く道具にされた『ちびまる子ちゃん』であった。
表紙は破け、単行本なのに雑誌のようにしわくちゃである。

 「お前はな(ビシッ)、授業中にな(ビシッ)、こんなものを(ビシッ)。
読んでいいと、お(ビシッ)も(ビシッ)い(ビシッ)よ(ビシッ)う(ビシッ)と(ビシッ)やっ!(ビシッ!)」

 大変だった。
しかし、自分のものでない『ちびまる子ちゃん』を奪われなくてよかったと思った。


 あの衝撃的な出会いから、20年近くも経ったというのか。
テレビの中のまるちゃん達は相変わらずで、ほのぼのとさせてくれる。
すごいなー、ずっと変わってないんだもんな。

 20年前の自分、今の自分。
変わったところ、かわってないところ。
どうなんだろう。

 思わずため息が出てしまうのはなぜ。

 とりあえずまるちゃん、20周年おめでとう。
 そしておれ、おまけだけどあれから20周年おめでとう。

 これからもがんばろうね!



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【春はそこまで】
去年、確実に枯れ草になったと思っていた水仙が芽を出した。
おおー
水をあげ続けててよかった。
こんなに寒いのに、ちゃんとわかっとうちゃね。
楽しみだ。
さあ、春はそこまで。
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by a_k_essay | 2010-01-31 21:01